まず実態を知ることから~ヤングケアラー
府中市が4月28日、ヤングケアラーの支援体制強化のため日本財団と協定を結んだという報道がありました。財団は、自治体と連携した実態調査や研修会の実施を通じて、効果的な支援の検証や全国への普及を目指しています。
さて、多摩市や日野市、また世田谷区など都内の自治体でもヤングケアラーの実態調査が行われていますが、多摩市では昨年11月から12月にかけて、小中学生、高校生世代のおよそ9,000人を対象に、ウェブや紙媒体で調査が実施されました。高校生の約3割、小中学生の5割近くが「ヤングケアラー」という言葉を聞いたことがないと答える一方、「家族のお世話をしている」と答えた高校生世代は、「学校や大人にしてほしいこと」の項目で、お金の面で支援してほしい29.6%、自由に使える時間がほしい22.2%、一部でも代わってくれる人やサービスが欲しい14.8%、家族の病気や障害、お世話についてわかりやすく説明してほしい14.8%と答えました。覚えておかなければならない数字です。
今回の調査を通じて、多摩市では少なくとも5人の子どもたちが「ヤングケアラー」と思われることも明らかになりましたが、そのうちの2人は、すでに家族が介護保険サービスや障がい福祉サービスを受けているにも関わらず過度な負担がかかっていました。法に基づく介護や障がいのサービスを受けていながら、重過ぎる負担を子どもが負っているのはなぜなのでしょう。福祉制度の在り方そのものが今なお「まずは家族で」という思想なのに、支え手が子どもしかいない世帯が増えていることのあらわれなのではないでしょうか。介護を担うケアラーの人たちを視野に入れたサービスの構築が必要だとの思いがいっそう強くなりました。