省エネで急ごう!猛暑への学校の備え

一昨年に並び統計史上最高となった昨年の夏の暑さ。真っ赤な顔をしての下校、熱過ぎて学校のプールが使えない、体育館が蒸し風呂状態で体育の授業ができない、休み時間に外で遊べない…と、学校が機能を果たせないほど夏の暑さは危険域にあります。市長も施政方針の中で「総合計画策定から1年余りの間にも、地球沸騰化ともいわれる気候変動は想像を超えて進んでいる」と述べましたが、私たちが求めた小学校体育館の断熱と空調は当初予算に計上されませんでした。直近に予定されている大松台小学校の体育館の大規模改修でも、検討もされなかったのは残念です。

地球温暖化対策は、省エネやみどりの保全、再生可能エネルギー活用など、温暖化の進行を抑制する「緩和策」と、洪水や渇水対策、熱中症の予防など影響への備えである「適応策」の両輪が必要と言われます。体育館の断熱・遮熱はそのどちらにも資するものですが、多摩市教育委員会は、学校施設は断熱が義務付けられていないとして検討もしていません。学校の体育館の屋根はトタン屋根のようなもので、それ自体が蓄熱することから、文科省は「断熱した上での」空調設置を推奨しているというのに…。

さて、2019年の3月議会。阿部市長は中学校体育館への空調設置の専決処分を報告しました。庁内での情報共有も省き議会の議決も待てないほど、市長にとっては緊急だったのでしょう。当時の教育長も「この夏の状況は災害級の暑さ…」と述べています。しかし、当時より暑さが危険を増す中、中学生よりも体力のない小学生の教室や体育館の温度のデータをとるなど、何の調査も検討もしなかったことはどう理解すればいいのでしょう。また、熱されたトタン屋根の建物で、断熱なしの冷房効率はどうだったのか、検証したくてもそのデータもありません。

市長と議会が共同で発した「気候非常事態宣言」とは何だったのか。そこに立ち返り、未来につけを残さないよう、今できる最前を尽くす必要があります。市長も必要性は認め、文科省も推奨しているのですから、市長にはすぐにでも補正予算に向けた検討を始めてほしいです。

写真は乞田五叉路の都による植栽。保水機能が気化熱で大気温を下げ(緩和策)、横断歩道で信号を待つ人に木陰を提供(適応策)してくれます。こういう発想、大事ですね。