小中学校の給食費の無償化に関する陳情についての意見討論

3月議会最終日「小中学校の給食費の無償化に関する陳情について」ネット・社民の会を代表して採択の意見討論をしました。以下がその討論です。結果は趣旨採択の意見が多数を占めたことによる趣旨採択となりました。

 

食育基本法の前文には、「子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何よりも「食」が重要である。」「子どもたちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるもの」とあります。私も管理栄養士として特に子どもへの食育の大切さと家庭により異なる食生活を送っている子どもたちに食育するには、学校給食が欠かせないと感じてきました。食育が本市では栄養教諭や学校給食センターの栄養士、またはクラス担任の先生や養護の先生などが、学校給食を生きた教材として活用しながら、食育を進めています。

住宅のなかにある水田。都市農業ならではの風景

そして学校給食には市内の農家さんが育てた野菜や果物、味噌など市内で加工したものを利用する、米飯給食を増やす、伝統食を取り入れるなど、生きた教材として充実を図ってきました。学校給食法11条では食材費については保護者負担と規定されていますが、給食は生きた教材であり、教育の一環として欠かせないものであることを考えると、本来憲法が保障している「義務教育はこれを無償とする」に照らし、国が給食の無償化をすべきであることは明白です。

また教育、食育という面以外でも、陳情者が言われたように学校給食が果たしている役割は大きいと考えます。学校給食は一日三食食べる内の一食であることや、学校が休みの時には提供されませんが、新型コロナウイルス感染症流行により学校が休校になった時には、給食の代替え品の配布を教育委員会が行い、議会でもその内容について多くの質疑がありました。また市民からも、バランスのよい食事が子どもたちには必要なので、給食の提供だけでもできないのかという声を多数頂きました。コロナ禍で改めて、私たちは学校給食が子ども達の成長や健康にも寄与していることを確認したのです。そのような役割を果たしている学校給食について、住んでいる自治体や家庭の経済状況により子どもたちを分けて、一部の子どもを対象にして無償化を行うのではなく、子どもたちの権利を満たすためにも、全ての子どもに対して無償化を行う必要があると考えます。

先週に入り小中学校の学校給食の無償化を少子化対策に入れようという動きがありました。一自治体として国の動向を注視することに終始するのではなく、本市が持つ子ども・若者の権利を保障し支援と活躍を推進する条例に照らし、多摩市として、今できることがあると考え、採択での討論と致します。